火災報知器(住宅用火災警報器)の設置が条例で義務付けられてから、かなりの年数が経ちました。火災報知器は電池の消耗や部品の劣化のため、設置から約10年での取替えが推奨されています。
自宅に設置した警報機も10年近く経っているため、この度買い替えを行いました。今回は買い替えにあたり調べた火災報知器の選び方のポイントの解説と、実際に買ってみた商品のレビューをします。
(本記事で紹介する機器は、正確には「住宅用火災警報器」ですが、文中では、より一般的な名称である「火災報知器」を使います。文中の「火災報知器」は正しくは「住宅用火災警報器」を指しているとお考え下さい。)
火災報知器(住宅用火災警報器) とは
出火により発生する煙や熱を感知し警報を発することで、火災の発生を知らせる機器です。国内では2006年に消防法が改正されて以降、各自治体の条例により設置が義務付けられるようになりました。
一般向けに販売されている商品は設置に大がかりな工事は不要で、ねじを使って自分で天井や壁面に取り付けることができます。
ねじで穴をあけて取り付ける機器のため、基本的には持ち家向けですが、両面テープでくっつけたり、フックにひっかけることもできるので、やろうと思えば賃貸住宅でも穴をあけることなく設置できます。(法的な設置条件を確認の上自己責任でお願いします。)
火災報知器と住宅用火災警報器の違い
火災報知器(または火災報知機)は火災を感知したりすることで、警報を発したり消防へ通報する機器の総称です。
一般的に火災報知器という言葉が使われる場合、自動火災報知設備と住宅用火災警報器(住宅用防災警報器)のことを指します。(ここでは話を分かりやすくするために一般的な使われ方についてのみで、消防関係法令上の定義は含みません)
自動火災報知設備とは、マンションやビル等の多数が出入りする比較的大型の施設などに設置される機械(システム)のことです。
住宅用火災警報器(住宅用防災警報器)は家電量販店やホームセンターなどで一般的向けに販売されている機器で、自分で購入して取り付けをすることができます。今回の記事で紹介するのはこちらに分類されるものです。
火災報知器(住宅用火災警報器)の種類
設置する環境に合わせてさまざまな機能を持った火災報知器が販売されています。基本的な商品展開としては感知方式(「煙式」or「熱式」)と連動可否(「単独型」or「連動型」)の4パターンの機能の組み合わせです。そのほかに電気工事が必要な「100V式」や耳が不自由な人向けの「発光タイプ」などがありますが、あまり一般的でないため、今回は上記4パターンに絞って紹介します。
「煙式」と「熱式」、2タイプの感知方法と選び方
火災報知器の種類は火災の感知方法の違いで大きく分けて「煙式」と「熱式」の2タイプがあります。
この選び方は簡単で、基本的には「煙式」を選択すれば問題ありません。設置義務(各自治体条例により異なる)のある寝室や階段は、通常「煙式」を設置することになっています。
「熱式」は煙や水蒸気の発生しやすい台所の直上や脱衣場などに設置を行います。要するに「煙式」では生活で出る煙などを吸い込んで誤作動を起こしやすい場所のみに「熱式」を設置すると考えましょう。
「単独型」と「連動型」、2タイプの連動方法と選び方
「煙式」と「熱式」かを決めたら、次の選択として「単独型」と「連動型」のどちらかを選ぶ必要があります。こちらは、設置する住宅の状況によって選ぶ必要があります。
「単独型」は火災を感知した機器のみが単体で警報を発します。感知した機器以外の機器は何も反応をしません。
家が1フロアでそれほど広くない場合や、聴力に自信があり離れていても警報が聞こえるという場合は「単独型」で問題ありません。
一方「連動型」は設置時に機器同士の連携を設定し、火災を感知した際に感知した機器から他の連携機器に通知信号が送られます。これによって他の警報器からも警報が発せられるため、火災が発生した部屋から離れた他の部屋にいる場合でも気づきやすくなり、火災発生後の逃げ遅れをより効果的に防ぎます。
このような特徴があるため、家が複数フロアに分かれていたり、各部屋の防音性が高い場合や、耳の弱いお年寄りが別の部屋で暮らしているなどの場合には「連動型」がおすすめです。
「連動型」は「単独型」上位互換といえるため、迷った場合には「連動型」を選べば、不便が生じることはありません。ただし商品の価格は「連動型」は「単独型」の2倍~3倍程度高くなります。
おすすめの火災報知器のメーカー
火災報知器は、日本国内ではパナソニック、ホーチキ、能美防災、ニッタンの4社が大手です。
そのほかヤマトプロテック、新コスモス電機などからも発売されていますが、基本的には上記の4社で約9割のシェアを押さえているとされています。中でもパナソニックとホーチキの2社が強く、一般的なホームセンターや家電量販店、ネット通販ではパナソニックとホーチキのどちらかの商品を取り扱っていることが多いです。
中華メーカーはお勧めできません。
ネット通販では中華メーカー製の火災報知器をちらほら見かけるようになってきました。スマホ連動やwifi接続等の付加機能があり魅力的に思えますが、検出精度には疑問が残るため、あまりおすすめできません。娯楽や趣味のガジェットであれば中華メーカーも面白いのですが、いざという時に備える防災設備には不安が残るというのが個人的な意見です。
安全を確保するためにも、日本消防検定協会の検定基準合格品を選ぶことをおすすめします。(上で挙げた日本の大手メーカー製であれば基本的に消防検定基準合格品です)
パナソニックやホーチキの火災報知器の電池は交換できるのか。
多くの火災報知器の電池は交換できますが、電池切れになった時点で設置から10年近く経っている可能性が高いため、火災報知器自体の交換の検討をおすすめします。
パナソニックやホーチキなどから10年前以降に発売された火災報知器は、ほとんどが電池寿命が10年の製品です。製品の寿命も約10年ですので、電池交換の合図が出た時点で感知部品などが劣化し始めている可能性が高いといえます。
以上から、電池交換の合図が出た際には電池だけ交換するのではなく、製品ごと交換することをおすすめします。
現在設置している機器が10年経っているかどうかわからないという場合は、本体を確認してみましょう。火災報知器を設置したときに本体の側面等に自分で記入した「設置年月」を確認するか、「設置年月」を記入をしていない場合は、本体のふたを開けた部分などに記載されている「製造年」を確認することができます。「設置年月」や「製造年」が10年近く前であれば機器を取り換えるべきです。
おすすめの火災報知器
煙式&連動型
ホーチキ 火災警報器 ホワイトアイボリー 煙式 3個入
連動型はホーチキのものがおすすめです。価格は若干高いですが、親器、子器の区別がない仕組みのため、連動させやすく、登録管理もしやすいのが特徴です。
煙式&単独型
パナソニック けむり当番薄型2種(電池式・単独型)
パナソニックの煙式&単独型は値段が安めでコスパに優れています。ホームセンターや家電量販店などでもよく見かける商品だと思います。型番が良く変わるのと、売り切れが多いのが難点です。
Amazonでまとめ売りで安く売っていたのですが、しばらく在庫が復活していないようです。
購入した火災報知器
上記の連動式のオススメにも挙げさせていただいた「ホーチキ 火災警報器 ホワイトアイボリー 煙式 3個入 無線連動方式(煙式) SS-2LRA-10HCP3 」を購入しました。
選んだ理由としては、「連動型」を採用している点。さらにその連動式の中でも、警報器それぞれが相互連動する通信方式で親器、子器の区別がない仕組みを採用している点がメリットと感じ選びました。
パッケージ
パッケージ裏面
ガンダムに登場しそうな感じ
裏面はキャップになっており、外すと設置用のねじが2種類入っていました。
パッケージ内には本体の他に、保証書兼取扱説明書と「グループ登録早わかり」という登録簡易ガイドが入っています。鳴動を止めるための引き紐は同梱されていなかった気がします。
説明書はかなり詳細に書かれており、一見恐ろしく複雑で、「グループ登録早わかり」の簡易ガイドですらごちゃごちゃ説明が書いてあるため、設定できるのか不安になりますが意外と簡単でした。
基本的な流れとしては、表面のボタンを押して電源入れる→裏面の登録ボタンを順番に押していくだけでグループ登録完了です。
1台目の裏面の登録ボタンを押すと「登録モードです。別の警報機を登録してください」と音声が流れます。その後2台目、3台目と順番に押していけば登録作業は完了です。
全台登録作業した後、すべての警報機から「登録しました」と音声が鳴るはずなのですが、最後の一台が鳴りませんでした。大丈夫かこれ?と思ったのですが、通信テストで連動して鳴動したのでOKとしました。
取り付けは簡単で、付属のねじで裏蓋を天井に取り付け、本体をはめ込むだけです。
自分はアイリスオーヤマの電動ドリル(インパクトドライバー)で行いましたが、一般的な天井や壁なら電動工具が無くともハンドドライバーでねじ込むだけでもできると思います。
設置が終わったら、連携できているかテスト運転をして完了です。思ったより大きな音がでるので、近所に聞こえないかちょっとドキドキします。設置後は現在のところ誤作動なども特に起こっていません。
いざという時にしか使わない防災機器の準備というのは忘れがちになってしまうものですが、住宅用火災警報器の交換や新規購入の際にこの記事が参考になれば幸いです。
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